中小企業における退職リスクの軽減
突然ですが、優秀な社員が辞めるリスクはいくらで計算しますか?
これはなかなか計算できないですよね。
それに本当に起こったらぞっとしますよね。少数精鋭で運営する中小企業にとって予期しない退職は非常にダメージが大きいものです。
このような事態にならないため、対策をしっかり打っておくことが大事なのです。もし、万全の対策を打っても辞める優秀な社員が発生した時は、それはそれで納得できると言うものです。
やるだけのことをやったから納得するというのもあるのですが、対策を打っているということは事前準備ができているということです。事前にどうしても辞めることがわかっていたらどうでしょう?
次の人材投入もしくは育成を早めにできるということになりますよね。
大切なのは、社員がどのような状況にあるのかをしっかり把握する管理力とその力を組織的にバックアップするスキームの構築なのです。
もちろん対策をしっかりしておけば、退職者は軽減されるはずです。
では有望な新人が3ヶ月、3年と退職希望が出たら対応する人の時間、結局やめてしまった時の損失、いくらで計算しますか?
これも同じですね、やめたくなる時期を知っているだけで対策が取れます。
若い人材には、入社当時から一定のお金がかかるものです。どんなに教育体制をしっかり取ってなかったとしても教える先輩社員の時間は取ってしまうことになります。せっかく育てた社員を次世代の戦力に変えていくことは中小企業においても会社を発展させる原動力になるのです。
しかしながら、若い世代は目の前の嫌なことや、周りの別業種の友人などの影響を大きく受けます。
影響を受けることは決して悪いことではないのですが、悪影響を受けやすいということです。
私はこれを「負の結びつき」と呼んでいます。
この負の結びつきは、会社だけではなく学校などでも経験がありと思うのですが、ある意味日本ならではといってもいいのものです。
・3人いるとどうしても1人を下に見る
・1度は軽度でもいじめられた、いじめた経験がある
・同僚、同級生が贔屓(ひいき)されていると思ったことがある
・勉強や仕事、スポーツができる人間を羨むことがある
集団生活を大事にする日本では、このような事が起こるとたちまち集団を作り自分の考えが間違ってないかをみんなで共有します。そしてそこから陰口を叩くようになるのです。
この愚痴とも言える陰口は、会社批判や部署批判に発展していき部署間の上司批判に発展していくのです。
これは日本の教育体制が変わらないとなかなか改善することは難しい課題なのですが、負の結びつきを自身の会社から排除することはできます。それが管理力の強化なのです。
管理力とは、人間力も必要なわけですが経営者、中間管理職がしっかり社員を見る力を養えば自ずと会社に悪影響を及ぼす「負の結びつき」はなくなります。
一方で教育資金の観点から申し上げると実際に教育費はいくらかかるのかということですが、産労総合研究所の調べでは299人以下の中小企業で教育にかかる費用は655万円かかるとのことです。
毎年、これだけの経費をかけて、退職率が下がらないと辛いですよね。
経費のかけかたにも目を配る必要があります。
やればいいという体制から、質を求めることが重要です。
給与が低いから辞める社員がいるのは仕方ない!?
それは違います。
多くはやりがいを失うからです。
また先にも述べてる、負のつながりや考えの乏しさよって辞めてしまうのです。
優秀な人は転職が当たり前!?
もっと自信を持ってください。
その優秀な人が皆さんの企業を選んだのです。
そう、新入社員でも中途採用でもその優秀だとされる社員が自らの意思で選んだ会社だという事実です。
では、どこに原因があるのか、社員満足度を高める努力をしてきたかどうかで決まるのです。
例えば、業界標準より給与水準の高い会社があったとします。
社員満足=高報酬だとします。実はこのような会社には優秀な社員が残っておりません。
給与だけで繋ぎ止めた会社では、お金がすべてになり、多くの給与をもらっていても、もっと給与が高いところを求め反発するのです。そして同業の転職におさまらず他業種でも転職し、慣れないストレスから道を間違ってしまう若い世代が多いということです。
私も外資系金融機関出身なので、前向きな転職は大いに頑張って貰えばいいと思います。しかし、私が採用の時みた履歴書の多くはなぜうちの会社を選んだのか解らない経歴が多かったのも事実です。外資系金融機関は年俸制が多いですから夢があるのでしょう。サラリーマンは文字どおりサラリー(給与)をもらって仕事をしています。正当な対価として評価してもらう要求を持つことは重要なことです。ですが間違った過度な評価をしないためにも常日頃から社員教育、社員満足度を考え、ともに会社を作っていくことが、社員の生きがいにつながり、退職者の数を減らすことに繋がるものだと思います。
社員教育を怠ることは、その優秀な社員の人生をも変えてしまうということですから、大事なのは社員の満足度を把握し企業努力を続けることではないでしょうか。